神経心理学的検査

改訂長谷川式簡易知能評価スケール(Hasegawa’s Dementia Scale:HDS-R)はこちら。HDS-Rは簡便で短時間で実施できます。記憶に重点を置いていて、高齢者に不向きな動作課題・視覚課題は避けられています。老眼でメガネを忘れてきて字が見づらい状態でも可能です(5つの物品テストで視覚を使いますが、ちょっと字が見えづらいレベルなら物品は認識可能なことが多い)。無料で使用可能です。加藤伸司先生の原著通りに実施することが重要です。例えば、100から7を引き続けるいわゆるセブンシリーズは、Mini-Mental State Examination(MMSE)やMontreal Cognitive Assessment(MoCA)では不正解でもやり続け、途中の引き算が正解ならカウントします。しかしHDS-Rでは不正解なら中断します。数字の逆唱も3桁で失敗したら4桁はやりません。語の流暢性を見る野菜の名前も、言葉が詰まり10秒経ったら打ち切ります。国際的な共同研究には使用できないと思います。

山鳥重先生の神経心理学入門に、見当識障害は独立の症状であることはなく、注意・領域・記憶の障害の表現と書いてありました。


MMSEの原著はこちら。いくつかの日本語版があります。英語版から日本版を作成するには、単に翻訳するだけでなく、文化の違いも考慮する必要がある。そして、内容・採点法・難易度が等価であることが重要です。こちらMMSEには著作権があります。MMSE-Jはこちらで購入

MoCAはこちら。各言語が用意され、マニュアルもあります。MMSEよりちょっと難しいです。軽度認知障害の評価もできます。最近のCOVID-19における認知機能障害の研究やパーキンソン病の認知症の評価にも使われています。

Clinical Dementia Rating(CDR)はこちら。CDR-Jはこちら

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