バリデーション療法:Validation therapy

バリデーション療法:Validation therapy

認知症の人に嘘をついたりごまかしたりせず、「傾聴」と「共感」を基本にコミュニケーションを行う方法。ソーシャルワーカーのNaomi Feilが1980年代に確立した。

センタリング(介護者が精神を集中する)

介護者が自分自身の中にある怒りやイライラを追い出すことで、認知症の人の気持ちを心から感じられる準備をする。

オープンクエスチョン(開かれた質問をする)

「はい、いいえ」で答えられる質問ではなく、「いつ」「どのように」「どこで」「なぜ」「誰」「何」(5W1H)といった自由に回答できる質問を投げかけることで、相手の考えを具体的に知りやすくなる。

リフレージング(相手の言葉と同じ言葉を繰り返す)

認知症の人は、相手が自分の言うことを繰り返して、それが確認されると安心する。声の大きさや抑揚も出来るだけ同じようにする。
例:
「お茶はいらないよ」→「お茶はいらないのですね」
「あんた、わたしの財布、取ったでしょ!」→「私が、あなたの財布、取ったの?」

極端な表現を使う

極端なケースをイメージすることによって、自分の気持ちを表現しやすくする。それが感情を発散させる手助けになる。
例:
「この食事はまずい!」→「今までで食べた中で最悪でしたか?」

反対のことを想像する

反対のことを想像することは、若い頃に困難から立ち直るためによく使った方法を、思い出の中から導き出す。
例:
「誰か知らない人が部屋に入ってきた」→「彼が入ってこなかった日はあるんですか?」

レミニシング(懐かしい思い出話をする)

過去を尋ねることで、見当識障害を有する患者が失ってしまったものを、過去に用いていた方法を利用して取り戻すことができる。
例:
「夜よく眠れない」→「お若い頃も眠れないことがありましたか?」

曖昧な表現を使う

曖昧な表現を使うことによって、認知症の人が何を言っているのかわからなかった場合でも、コミュニケーションを取ることができる。
例:
「それは面白いんですか?」
「その人が嫌なことをするんですか?」

(高齢者の)好きな感覚を用いる

認知症の人の好きな感覚(視覚、臭覚、触覚)を見つけて、その感覚を連想する言葉で話す。
例:
「いい匂いですね」
「さらさらですね」

親しみをこめたアイコンタクトを意識する

ユマニチュードにも共通する技法。視界が狭くなっている認知症の人に対して、視線を合わせ、長く見つめることで不安を取り除く。

はっきりとした低い、優しい声で話す

高音は高齢者にとって聞き取りづらいので、低い声で話す。聞き取りやすく、落ち着いたトーンで話すことで、安心に導く。

タッチング(手や肩など一番心地よい場所に触れる)

両手で頬を包み込む「母のタッチング」、肩に手を置く「友のタッチング」など、目的に応じて触れる。
※触られることに抵抗する様子がある場合は中断する

音楽を使う(必要に応じて歌ったり音楽を聴いたりする)

認知症の人が昔好きだった曲を一緒に歌ったり、聴いたりしてコミュニケーションをとる。

ミラーリング(相手の動きや表情に合わせる)

相手の言葉だけでなく、表情や声の大きさ、口調も真似て繰り返す。

満たされていない人間的欲求と行動を結びつける

不穏な症状が現れた時は、「愛されたい」「人の役に立ちたい」「感情を発散したい」という3つの人間的欲求のうちどれにあてはまるか?を想像する。

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