1-year rule

レヴィ小体型認知症(DLB)の診断基準が2017年に改訂されましたが、ここには「1-year rule」が記載されています。 

Table 1の下
DLB should be diagnosed when dementia occurs before or concurrently with parkinsonism. The term Parkinson disease dementia (PDD) should be used to describe dementia that occurs in the context of well-established Parkinson disease. In a practice setting the term that is most appropriate to the clinical situation should be used and generic terms such as Lewy body disease are often helpful. In research studies in which distinction needs to be made between DLB and PDD, the existing 1-year rule between the onset of dementia and parkinsonism continues to be recommended.

DLBは認知症がパーキンソニズムの前または同時に起こるときに診断されるべきである。 「認知症を伴うパーキンソン病(PDD)」という用語は、明確にパーキンソン病と診断された病歴の中で生じる認知症を表すために使用されるべきである。 現状では臨床上最も適した用語を使用し、総称である「レヴィ小体病」という用語もしばしば有用である。 DLBとPDDとの区別が必要な研究研究では、認知症とパーキンソニズムの発症時期で分ける「1-yearルール」を引き続き推奨する。



1-yearルールは、第1回 DLB 国際ワークショップにおいて、パ ーキンソニズム発症前あるいは発症後1年以内に認知症が生じた場合にはDLB、PDと診断され1年以上経過観察された後に認知症を生じた場合にはPDD と診断することが提唱されました。このルールは、それまでの研究データとの整合性を取るため便宜上設けられたものでしたが、その後の2005年の診断基準2017年の診断基準でも継続されました。

しかしながら、病理や画像などで、DLBとPDDを明確に区別することはできません。2つの違いを示唆する論文はありますが、シヌクレオパチーの分布や量の違いです。そのため、あえて区別せず、「レヴィ小体病:Lewy body disease」という名称を使うことがあります。

ただ、典型的な左右差のある静止時振戦はパーキンソン病であることが多いと思いますし、睡眠導入剤や向精神薬での過鎮静はパーキンソン病では経験しないような気がします。DLBでDatSCANが極端に集積低下しているのに意外とパーキンソニズムがはっきりしなかったり、逆に集積正常だったり。

この1-yearルール、単に時間で分けただけですが、不思議と納得できることが多い。なので、私は外来での診断名は一応分けております。




かつてオリーブ橋小脳萎縮症・線条体黒質線変性症・シャイ・ ドレーガー症候群が症候・画像の合併が多く病理も共通であることから多系統萎縮症(MSA)と名称が変わりましたが、実臨床ではやっぱり区別した方が良いということで、MSA-C・MSA-Pと分けるようになったことがありました...

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