医用デジタル画像は数学の「行列」である

ここで言う「画像」は、医用デジタル画像を指す。

例えば、ロンドンのTower bridgeの写真をAdobe Photoshopで拡大してみよう。





画像が、画素 pixel の集合であることがわかる。

この画像は、パソコンなどディスプレイで表示される時はRGBというカラーモードで色が規定されている。RはRed、GはGreen、BはBlueである。いわゆる光の三原色である。ちなみに、印刷物などの色は、CMYK(Cyan・Magenta・Yellow・blacK)である。右の画像の紫色は、R 143、G 137、B 170という数値が割り当てられている。R・G・Bそれぞれが0〜255の幅があり、これらの組み合わせで256×256×256=16,777,216色が表現可能である。RGBでは光が混ざって表示されるため、R・G・B全てが0の場合は黒、全てが255では白となる。このように、pixelは数値によって色が決まる。


これは、医用デジタル画像にも当てはまる。
右は18F-FDG PET画像である。
ディスプレイではRGBで表現される。ただし、多くの医用デジタル画像ではカラースケールが割り当てられる。右図ではrainbowと称されるカラースケールを使用し、色の数値は脳内のブドウ糖代謝を反映したstandardized uptake value(SUV)である。0〜8のSUVが256に分割され色が割り当てられている。赤がSUV 8、緑が4程度、黒が0に相当する。デジタル写真と同様、pixelが並んで形成されているが、この色はSUV値を表現している。


画像は数字の羅列であり、つまり、高校の数学で学んだ「行列」である。


画像は、3次元に数字が羅列したデータである。

したがって、引き算・掛け算など、同じサイズの行列なら可能である。


通常の脳血管撮影では骨と造影剤が入った血管が描出されるが、骨のデータを引き算すると、Digital Subtraction Angiography(DSA)の画像を得られ、血管が見やすくなる。


同様に、画像のボクセル値ごと動態解析をしたり、統計処理したりすることが可能である。

ただし、それぞれの行列の数値が存在する、解剖学的な座標が共通でなければならない。

例えばDSAでは、患者がちょっと頭部を動かすと、骨の情報は消せないばかりか、余計な信号を表示することになる。後からソフトウエアで位置合わせすることも可能である。しかりリアルタイムで表示する必要がある場合、患者の頭部が動かない工夫、ヘッドレストの形状や患者の姿勢などが重要であり、放射線技師の腕の見せ所でもある。


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