「めまい」

2011年日本神経治療学会が出しためまいのガイドラインはこちらからPDFがダウンロードできます。


めまい、といったら耳鼻科、でいいのでしょうか?
 
患者さんの言う「めまい」には、
  • 回転性めまい
  • 浮動性めまい
  • 失神しそうなめまい(前失神)
  • 起立や歩行に際して訴えられるふらつき
  • 心因性

などがあります。(参考文献:福武敏夫. 神経症状の診かた・考えかたーGeneral Neurologyのすすめ)

分類
表現
回転性めまい
vertigo
目が回る、天井が回る、壁が流れるように見える、身体がぐるぐる回る、身体が側方に寄っていく、身体が傾いていく、深みに引っ張られる
浮動性めまい
dizziness
頭がふわふらする、体がふわふわする、雲の上にいる
前失神・卒倒感
presyncope; faintness
気が遠くなる、失神しそう、卒倒しそう、立ちくらみ
平衡障害
disequilibrium
足元がふらつく、体がふらふらする、よろめく
非特異的・定義不十分の頭部ふらふら感
nonspecific or ill-defined light-headheaviness 
頭がふらふらする、頭が空になる




 救急外来 ERでのめまいについては、こんな論文があります。

ER患者9,472例中、3.3%がめまい
  • 耳性・前庭系 32.9%
  • 心血管系 22.1%
  • 呼吸器系 11.5%
  • 神経系 11.2%(脳血管障害 4%)
  • 代謝系 11.0%
  • 外傷・中毒 10.6%
  • 精神系 7.2%
  • 消化器系 7.0%
  • 生殖泌尿器系 5.1%
  • 感染症 2.9%

めまいといったら、耳か脳、ではないのです。

末梢性めまいと診断された患者の追跡調査の論文はこちら。オンタリオの救急搬送患者のうち、初療で末梢性めまいと診断された約5万人。そのうち1週間以内に57人が、1ヶ月以内に76人が脳卒中で入院。

日本ならMRIが気軽にできますから、可能なら初療でMRIをやり脳卒中を除外しましょう。
小脳を取り囲む後頭蓋窩は骨が厚いので放射線が通りにくくわかりにくいです。ましてや急性期の脳梗塞は写りません。CTとMRIでこれだけ解像度が違います。これにMRIの拡散強調画像があると、脳梗塞が高信号に描出されるのでわかりやすい。

頭部MRI T1強調画像
頭部CT

ただし、脳幹部は急性期に脳梗塞がはっきりしないこともあるので要注意、こちら

何よりMRIは患者体内の金属で禁忌のことがあるし、私たちの持ち込む金属で患者やスタッフが大怪我する可能性もある。めまい患者は嘔吐することもあるから、吐物で窒息もありうる。注意が必要です。


良性発作性頭位めまい症についてはこちら

持続性知覚性姿勢誘発めまいはこちら



めまいについてお勧めの本はこちら。



この総説もおすすめです。

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